シャンプー、リンス、石鹸、化粧品、洗剤、染毛剤、等々の有害物質が皮膚を経由し、しかも肝臓で代謝されずに体内に入ってくるため、それらが蓄積しアレルゲンとなり、 アトピーを引き起こすという考えです。特に合成界面活性剤がよくないといわれ、アトピーを蔓延させ、悪化させているというわけです。この説は部分的には正しいのです。
なぜなら、合成界面活性剤の多くはエストロゲン作用をもち、リンパ球のTh1細胞とTh2細胞のバランスをくずし、アレルギー症状を悪化させるからです。 しかし、この説もオールマイティではなく、現場で数多くのアトピー患者と接しているぼくは、次のような例を最近非常によく経験するからです。
茶髪にしている患者さんに、アトピーは茶髪にしてからひどくなったかときくと、いやそうではなく、茶髪にするずっと以前から発症しており、 茶髪にした時期とはまったく関係がないという答がほとんどなのです。
もし、経皮毒がアトピーの主要な原因であれば、経皮毒として最も強い物質の一つヘアーカラーの毒が、頭皮から浸入してアトピーを悪化させなければいけません。 しかし経皮毒の影響はすぐにはでず、数年の蓄積によってでてくるものであると反論されるかもしれません。たしかにそうでしょう。
しかし、茶髪の流行はすでに20年以上になり、今では女性の6割強は染めています。また、男性の方が圧倒的に茶髪にしておりませんが、アトピーの比率は男女ほぼ同じです。 幼稚園児、小中学生は茶髪にしていませんが、アトピーは増えています。
もっとも、経皮毒はたしかにあり、体に害をなしています。癌の原因にさえなっているでしょう。アトピーを改善させるには経皮毒を最大限回避することは必要です。 しかし、経皮毒こそがアトピーの主要な原因であるとしてしまえば、現実を見ないことになってしまい、これもまた、もっと大きな原因を曇らせてしまうのです。
そして、そもそも経皮毒説を唱える人たちは薬学関係の人たちで医者ではなく、現場でアトピー患者さんを診ていないのです。
そのくせ、ステロイド軟膏は危険だから使うなと、誤った情報を流すのです。実にけしからん人たちです。 就職もできず、恋愛もできず、全身かき傷だらけで途方にくれる患者さんを一人も診ず、ともに悩まず、ステロイド軟膏は使うなというのは現実を知らない、 きわめて無責任な人たちです。
いっておきますが、今から経皮毒を避けることは正しい。そして、避け続けるべきです。 しかし、避けたからといって、今のあなたのアトピー症状は、そのくらいのことでは、これっぽっちも改善しないでしょう。それが現実というものです。