今、古くて新しい「炎症」という病理が、現代医学で新たに真剣に研究されてきています。ほとんどすべての病気には炎症が関係しているというのです。
たとえば狭心症や心筋梗塞の危険度は、HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)、LDL(悪玉コレステロール)、中性脂肪の多寡に影響されますが、体内の炎症度を示すCRPというタンパク質も、心・血管系の病気を予測するには重要です
がんでさえしずかな慢性の炎症が体内にひそんでいるときに、非常に発生しやすいのです。
アレルギー疾患の深部には、炎症が潜んでいます。まして、アトピー性皮膚炎は炎症そのものなのです。そして、実際の治療にはアレルギーをおこすアレルゲンを探しだすよりも、炎症を治すことのほうが、効率的なのです。
ちょっと考えてもみて下さい。ぼくたちを取り巻く環境には、それこそ何万という物質が存在します。また、食物もものすごい数です。その中からアレルギーをおこしている物質を探しだすのは、事実上不可能なのです。
摂取し、あるいは接触し、すぐにアレルギー症状をおこすものであれば簡単に同定できるかもしれません。
しかし、1週間も、2週間もしてアレルギー症状をおこす食物や、接触する物質を同定することは非常に難しいのです。それより、基本となる炎症をおこさないようにすることのほうが、治療としては実際的ではないでしょうか。