牛乳は牛の赤ちゃんが飲むものであり、ヒトが飲むものではなさそうです。学校給食で牛乳を強制するようになってから、学童の中にアレルギー疾患が顕著に増えてきました。またアジアの多くの人々は遺伝的に乳糖不耐症であり、牛乳に含まれている乳糖を十分に消化できないのです。
そこで乳糖が吸収できずに腸管にたまり、腸壁に浸透圧をかけて水分を引き出して、おなかをこわすのです。腸を整えることの重要性についてはあとで詳しく述べますが、腸は第二の脳といわれるくらい情緒と深く関係しており、また最大の免疫器官でもあります。その働きを阻害するのはアトピーにとっては非常によくないのです。
また、乳脂肪にはプロゲステロン(女性ホルモンの一種、黄体ホルモン)が多量に含まれており、それによってTh2細胞が増え、アレルギー症状を悪化させます。 特に男児がこの影響を強く受けます。 しかし、多くのお母さんがたは、お子さんの立派な体をつくるために、牛乳でカルシウムを補給しなければいけないと、医者や栄養士からいわれているかもしれません。 たしかに、カルシウムは必要です。しかし、世界を見渡すと、牛乳を多く消費する国にこそ骨粗鬆症が多いのです。事実は牛乳を飲む子どもほど骨折率が高く、血液の状態がアンバランスになり落ち着きがないのです。カルシウムは小魚や新鮮な野菜からでも十分に補えます。
象のような巨大な骨格を持った生き物の餌は草であることを思い出してください。あの10トンあまりの巨体を支える骨は草から得たカルシウムからできているのです。
また牛乳を飲み過ぎると、カルシウムとマグネシウムのバランスがくずれ、鉄、マンガン、亜鉛の吸収が阻害され「牛乳貧血」さえおこすことがあります。
中華料理に牛乳を使う話は聞いたことがありません。中国人は長い歴史の中で、アジア人にとって牛乳は良くないことを知っていたのです。世界で最も虫歯の多い国は世界一の牛乳消費国であるニュージーランドです。
反対に、世界一歯の丈夫な人種は、牛乳と酪農にはまったく無縁な世界に住むオーストラリア原住民なのです。
アトピー患者さん、よほどのことがないかぎり、牛乳は避けた方が無難でしょう。ただ、学校給食で配られる牛乳を一人だけが飲まないというのも、心理的に問題がありますので、そこのところは担任の先生と相談して、臨機応変に対処してください。
* そこで、よく出る質問ですが、それでは、代わりに豆乳はどうですかという質問です。
——牛乳よりずっとましですが、飲みすぎには注意してください。毎日、毎日、摂っていると、甲状腺機能障害をおこすことが、ごく稀にあるからです。インターネットで、「大豆 甲状腺機能障害」と検索してください。資料はいくらでもでてきます。特に発酵という製造過程を受けていない大豆製品の摂りすぎに注意が促されます。もっとも、そういう例は、現実的には非常に少ないので、まず心配はいりません。しかし、そういう可能性があるということだけは、頭の隅に入れておかれたほうが良いでしょう。もちろん、味噌、納豆を毎日食べたからとて、まったく問題はありませんので、安心してください。
* ここで述べている牛乳は低温殺菌された牛乳、つまり、スーパーやコンビニで売られている牛乳や家庭に毎朝配られる牛乳です。
乳牛がしぼりとられたばかりの牛乳は、それなりに健康に役立つのですが、このことについては、別の機会に述べます。