12.ビタミンD3:1000 IU~2000 IU/日

ビタミンDは動物性の食事から、ある種のコレステロール(7-dehydrocholesterol)として最初、体内に取り込まれます。それが皮膚で、紫外線にあたることでビタミンD3に変換され、肝臓で25-hydroxyvitamin D3になり、さらに腎臓で1,25-dihydroxyvitamin D3となり、この最後のビタミンD3となってはじめて作用を発揮します。

ほとんどの現代人はビタミンD不足です。しかもアトピー治療の基本は和食ですから、どうしてもコレステロールの摂取が少なくなり、 活性の強い1,25-dihydroxyvitamin D3も少なくなってしまい、いっそう不足がちになるのです。
ビタミンDの重要性は他の多くのページでも述べてきました。特に高血圧、骨粗鬆症、がん予防、不眠症などに効果があります。また、アトピーの改善にも非常に大切なのです。
最近の研究では抗菌ペプチドの一種であるカテリシジンの生成にビタミンDが必須であることがわかってきました。アトピー患者さんは伝染性膿痂疹(いわゆる、とびひ)などによくかかります。それを防ぐには、ビタミンDを十分に補い、体の中から抗菌力を高めることなのです。
また、福岡大学医学部の研究で、妊娠中、お母さんが十分にビタミンDを摂取した場合、生まれてくる子供の喘息とアトピーのリスクが減ることがわかりました。 “Dairy food, calcium, and vitamin D intake in pregnancy and wheeze and eczema in infants,” Miyake Y, Sasaki S, et al, Eur Respir J, 2009 Oct 19 アトピーが子供に伝わらないようにするにはどうしたらいいでしょうかと、よくアトピーの女性患者さんから質問を受けます。
ビタミンDをしっかりと補っておくことも、一つの手でしょう。
しかし、だからといって妊娠中には、5000 IU/日も摂ってはいけません。福岡大学の研究では、日に4.309μg、つまり172.36 IU以上摂った場合ということです。

また、アトピー患者さんは、体内のカルシウムイオンとリンイオンのバランスが崩れている人が多いようです。この理由の一つに副甲状腺機能の低下があります。副甲状腺が正常に働くには、ビタミンDが必須なのです。(アトピーと副甲状腺の関係をまともに調べている研究機関はありませんが、これからもっと真剣に調べられていかねばなりません。こういう研究こそ、大学病院の皮膚科がやるべきなのですが)。
特にビタミンDが不足気味の人(たとえば、長年、菜食主義でとおしてきた人など)は、できれば、最初の1週間~10日間は5000 IUほど摂られることをすすめます。

ここに書かれていることは、ドクター牧瀬が、延べ5万人以上の皮膚科領域の患者さんを、内科医の立場から診察した、つまり、多くの皮膚病は体の内部の問題が皮膚に現れたとみなして治療する根治方法です。
 しかし、ご自分の症状を正確に把握せず、ここに 書かれてあるサプリメントをとったり、勝手な治療法を行い、症状が悪化してもドクター牧瀬 はいっさい責任をとれません。

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