9. α-リポ酸:50mg~300mg/日

80年以上も前の1937年、α-リポ酸はジャガイモから発見されました。しかし、これが抗酸化物質として極めて重要な位置を占めるのが認識されだしたのは1980年代も終わりからです。
α-リポ酸は体内でつくられるという意味においてはビタミンでもミネラルでもありません。
しかし、非常にわずかしか人体では産生されず、加齢とともに減少し、また食物から得ようとしても極めて難しいので、(300ミリグラムを食物から摂取しようとすれば、900キログラムものホウレンソウを食べなければいけません)サプリメントで補う必要があります。
特にビタミンC、ビタミンE、CoQ10、グルタチオンなどのリサイクルにあたり、α-リポ酸は中心的役割を果たします。
最も際だって大切なことは、α-リポ酸が水溶性であると同時に脂溶性であるということです。
この性質により、水溶性であるビタミンCとグルタチオン、脂溶性であるビタミンEとCoQ10といった非常に重要な抗酸化 物質がフリーラジカルによって酸化されたときに、それらをリサイクル(還元)して、再び抗酸化物質として体内で使用できるようにしてくれるのです。
つまり、α-リポ酸の存在で、数多くの抗酸化物質が一つのネットワークの一員として能率的に働いてくれるわけです。
グルタチオンは細胞内に最も多く存在している大切な抗酸化物質ですが、α-リポ酸をとることによって、グルタチオンのレベ ルが30%も増えるといわれています。
CoQ10はビタミンEをリサイクルしてくれますが、α-リポ酸はこのCoQ10をリサイクルします。
また、何らかの理由でビタミンEが欠乏しても、α-リポ酸がその不足を補ってくれることが実験で確認されています。
つまり、重要な抗酸化物質のネットワークの中心的役割を果たしてくれるのです。
このantioxidants network(抗酸化物質ネットワーク)という概念は、カルフォルニア大学バークレイ校のレスター・パッカー博士によって提唱されています。興味のある人は「The Antioxidant Miracle」 Lester Packer, Ph.D. & Carol Colman著John Wiley & Sons, Inc. 出版を読まれたらいいでしょう。素人向けに易しく書かれています。最近は日本語訳もでています。
水溶性、脂溶性の抗酸化物質をリサイクルしてくれるだけではなく、α-リポ酸それ自体、強力な抗酸化作用を有しています。
放射線による細胞の損傷を最も効率的に予防し、また回復させてくれる物質は、このα-リポ酸だといわれています。
さらに特記すべきことは、遺伝子の発現の調節にも、このα-リポ酸がたいへんに役立っていることです。ヒトゲノムの解析は完了し、多くのがん遺伝子がわかってきています。しかし、たとえあなたが肺がんの遺伝子を持っていたとしても、それが必ず将来、肺がんになるということを意味してはいません。その遺伝子が発現し肺がんを惹起するには環境要因が深くかかわりあっています。
たとえば喫煙するかしないかです。禁煙を実行している人は、肺がんの遺伝子を持っていたとしても肺がんになる確率は、喫煙する人よりずっと少ないでしょう。がんのみならず他のさまざまな病気…おそらく外傷・怪我、細菌やウイルスによる以外のほとんどの病気…についても同じことがいえます。
細胞質には核因子カッパB(NF-κB)という一種のタンパク質が存在し、普通はおとなしく細胞質内に止まっているのですが、フリーラジカルなどによって活性化されると、核に移動してDNAと結合し、本来なら発現させてはならない遺伝子まで発現させてしまうのです。それを阻止する作用が、抗酸化物質の中でも、α-リポ酸が最も強力であるといわれています。

最近、α-リポ酸と立体構造が違ったr-リポ酸という強力なリポ酸が日本の市場にも出回ってきています。強力なゆえに、特に長期にわたり使うことは注意してください。もし、r-リポ酸を摂るなら、必ず ビオチンもいっしょに摂っておくべきです。しかし、アトピーの場合、α-リポ酸で十分です。
α-リポ酸はのどに刺激があるので、大人でものみにくいと訴える人がいます(まったく危険ではありません)。そのときは、オブラートに包んでのんでください。

ここに書かれていることは、ドクター牧瀬が、延べ5万人以上の皮膚科領域の患者さんを、内科医の立場から診察した、つまり、多くの皮膚病は体の内部の問題が皮膚に現れたとみなして治療する根治方法です。
 しかし、ご自分の症状を正確に把握せず、ここに 書かれてあるサプリメントをとったり、勝手な治療法を行い、症状が悪化してもドクター牧瀬 はいっさい責任をとれません。

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