この皮膚病は直系0.4mmほどのヒゼンダニ(疥癬虫)が皮膚の角層に寄生しておこり、通常疥癬と角化型疥癬(ノルウェー疥癬)の2種類があります。後者は非常に免疫の力が落ちた時に発症し、寄生するヒゼンダニの数は100万匹~200万匹です。通常疥癬の場合は数10匹以下です。ノルウェー疥癬の名前の由来は1848年にノルウェーの学者が最初に非常に悪化した疥癬の症例を報告したからです。
インターネットで検索されると写真がでてきますので、参考にしてください。しかし、ふつうの皮膚科外来では、まず見かけません。

疥癬で気をつけなければいけないのは通常疥癬で、これは時々アトピーと誤診されます。全身に米粒~アズキ大の丘疹が多発し、かゆみに耐え切れないころに患者さんは来院されることが多く、特にアトピーの既往歴がある場合、アトピーの再燃と間違われることがあります。
ヒトからヒトに感染します。長時間患者さんの肌に直接接触するか、あるいは患者さんの使用した寝具や衣類に接触したときに感染します。高齢者から乳幼児まで、あらゆる世代に感染の可能性があります。薬の処方数から推測して、日本では年間、20万人前後が疥癬にかかるようです。この数字は決して少ないとは言えません。

教科書的には、ダニが産卵のために人の皮膚の角層下にトンネル状の横穴をつくる、いわゆる「疥癬トンネル」を探せば診断は容易となるのですが、これが細長い引っかき傷のように見えてしまい、事実上、診断がなかなか難しいのです。そして、アトピーだろうということで、ステロイド軟膏を処方されるのですが、もとより効くはずがありません。

それで、おかしいということで、詳しく問診していくと、老人施設で介護のアルバイトをしていたとか、家族にも同じ症状のものがいるとかで、ひょっとすると疥癬ではないかと気づかれるのです。また、海外旅行をしたときにホテルのシーツあたりからうつることがあります。あまりにも不潔な安いホテルには泊まらない方が無難です。もっとも、5星のホテルでさえ、注意は必要です。病院、当直室、集団生活を行う施設などでは、特に気をつけてください。

夜間に非常にかゆみがますのが特徴だとされていますが、アトピーも夜ホットしたころに、急にかゆみがます例が多いので、これだけでは区別はつきません。
また、発疹は通常顔面頭部には見られないも特徴の一つだとされますが、アトピーの発疹だって、顔や頭にでない例はいっぱいあります。

やはり、ここでも問診というものが非常に大切だと痛感させられるのです。疥癬と正しく診断されれば、イベルメクチン(内服薬)やフェノトリンローション(外用薬)などの確立された治療法がありますから、心配しないでください。通常疥癬はせいぜい一ヵ月ほど完治します。
問題は、疥癬の可能性を皮膚科医が念頭においているかどうかです。患者さんの方からも、積極的に疥癬ではないでしょうかと、先生に聞いてください。

 

ここに書かれていることは、ドクター牧瀬が、延べ5万人以上の皮膚科領域の患者さんを、内科医の立場から診察した、つまり、多くの皮膚病は体の内部の問題が皮膚に現れたとみなして治療する根治方法です。
 しかし、ご自分の症状を正確に把握せず、ここに 書かれてあるサプリメントをとったり、勝手な治療法を行い、症状が悪化してもドクター牧瀬 はいっさい責任をとれません。

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