アトピー患者さんはよくヘルペスを合併させます。一番多いのは口唇や周りにできる小さな水ぶくれ様のもので、ピリピリと痛みがあります。 特長は、でき始めの湿疹の真ん中にはおへそのような小さな穴があいていることです。特にストレスが重なったときに発症します。単純ヘルペスウイルスⅠ型が原因ウイルスです。

このウイルスは感染力が強く、直接的な接触の他にウイルスがついたタオルやコップなどを介しても感染します。 一度感染して免疫を獲得して抗体ができても、機会があれば再感染や再発を繰り返します。感染力が強いので、患部を触った指で目をいじらないようにしてください。 目の角膜がヘルペスウイルスでおかされると非常に危険です。また、水泡も破らないように注意してください。普通、2週間以内に治ります。

大人にみられる口唇ヘルペスは、ほとんどが再発で、多い人は年3~4回も再発を繰り返します。 治療はアシクロビル(商品名ゾビラックス)やビダラビン(商品名アラセナA)という抗ウイルス剤(軟膏もあります)がよく効き、さほど心配はいりません。

しかし、初期であれば、抗生物質のエリスロマイシン(商品名:エリスロシン)が意外と功を奏するのです。 この薬は理論的には、細菌のリボゾームという小器官に作用して、細菌がタンパク質を合成できないようにするのです。 したがって、リボゾームをもっていないウイルスには、エリスロマイシンは直接には作用しないはずです。 ところが、効くのです。おそらく、ウイルスが増殖するときに使うヒトの細胞の中にあるリボゾームに作用しているものと推測されます。

しかし、患者さんにとっては、理屈はどうでもよいことです。要は効けば良いのですから。 したがって、でき初めのヘルペスには(性器ヘルペスでも)、下記の組み合わせを、最近は勧めています。

  • エリスロシン 4日間服用

  • 腸溶性ラクトフェリン 4錠/日

  • ドクターズ・メガ・プロテオグリカン 3錠/日

  • フラックスシードオイル 2カプセル/日

しかし、すでに重症化してしまったヘルペスにはエリスロシンは効きません。ゾビラックスやアラセナAなどの抗ウイルス剤が必要です。

以上の処方に加えて、下記も足されたらよいでしょう。

  • まず、白砂糖は可能なかぎり摂らないでください。

  • 月桃加工食品:6カプセル/日。普段は2~4カプセル。月桃加工食品(JIPNAG Ginger®)は抗ウイルス効果に優れています。

  • エゴマオイル:3グラム~6グラム/日。エゴマオイルにはロズマリン酸が含まれており、それがヘルペス再発予防に効果があるのです。

  • リジン:日に9000mgを3回にわけて食間にとる。その作用機序はよくわかりませんが、リジンはヘルペスに効果があります。 予防のためには日に3000mgを摂ればいいでしょう。副作用はまったくありませんから、安心して摂り続けられます。 ただ、この療法は4割の人にしか効きません。リジンのサプリメントはインターネットで簡単に購入できます。
    またリジンはソバにたくさん含まれていますから、ソバアレルギーがなく、アトピー症状が軽く、かつヘルペスが再発しやすい人は積極的に食べられたら良いでしょう。
    同じ麺類ならウドンよりソバをということです。また、木の実のたぐい、たとえばピーナッツやアーモンドはできるだけひかえてください。 それらにはアルギニンがたくさん含まれていますから。

  • ビタミンB5:日に2000mg。

  • ビタミンB12:1000~2000μg/日。最終的には500~1000μgを維持。 これらB5とB12を大量にとるときは、他のB類も入っているビタミンB群のサプリメントも同時に摂ってください。

  • 亜鉛:30mg/日。普段は15mgを維持。しかし、摂り続けてはいけません。2~3カ月に一度は、一ヶ月は抜くようにしてください。
       ピコリン酸亜鉛が良いでしょう。

  • セレン:200μg/日。普段は100μg。しかし、これも摂り続けてはいけません。2~3カ月に一度は、一ヶ月は抜くようにしてください。

  • リチウム:5mg/日。オロチン酸リチウム。これを摂るときは、必ずフラックスシードオイルも摂ってください。長期にわたっては摂らないほうが無難です。

  • セントジョンズワート(西洋オトギリソウ):これは、「うつ」にも効果があるのですが、 ヒペリシンおよびプソイドヒペリシンという二つの抗ウイルス物質が含まれているため、ヘルペスに効くことがあるのです。 以上に述べたサプリメントをすべて試しても効果がないとき、一度、これを試してください。

  • ビタミンC:4~6グラムを2~3回に分けて摂ってください。しかし、このような大量のビタミンCは決して摂り続けないでください。また、ビタミンCの点滴による大量療法は止めてください。一時的には良くなる人はいますが、すぐに再発することが多いのです。

口唇ヘルペスくらいであれば、2週間もすると、ほとんどは何の治療もしなくても(しかし、痛いですが!)自然に治ります。 しかし、これがカポジ水痘様発疹症にまでなるとたいへんです。重症のアトピー患者さんにときどき合併します。顔全体に広がることが多く、ひどいときは全身にひろがります。 数日は入院して治療を受けるべきです。 まれにあるのですが、カポジ水痘様発疹症が併発したことに気づかず、いつもと違ってヒリヒリするが、アトピーが悪化したのだろうというくらいで、 ステロイド軟膏を多い目に使う患者さんがいます。これは症状を悪化させます。

アトピー症状はかゆいのが原則です。痛いときは、変だと思い、すぐに病院に行ってください

ここに書かれていることは、ドクター牧瀬が、延べ5万人以上の皮膚科領域の患者さんを、内科医の立場から診察した、つまり、多くの皮膚病は体の内部の問題が皮膚に現れたとみなして治療する根治方法です。
 しかし、ご自分の症状を正確に把握せず、ここに 書かれてあるサプリメントをとったり、勝手な治療法を行い、症状が悪化してもドクター牧瀬 はいっさい責任をとれません。

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