アトピー性皮膚炎ではありませんが、特に40代の半ばごろより、全身に湿疹ができて、なかなか治癒しない例があります。
これといった原因もなく、アレルギー体質でもなかったのに、しつこい湿疹に悩まされるようになった。けっこうきつい痒みで、ステロイド軟膏を塗っても、また痒み止めの薬をのんでも、なかなか改善しない。
老人性皮膚掻痒症といった、病名というより症状名(老人の皮膚が痒い症状といっているわけですから)をつけられていることがあります。あるいは老人性アトピー性皮膚炎と診断されることもあります。いずれにせよ、原因がよくわからないので、適当な病名をつけておくべきだということなのです。
こういう場合、きわめて初期の癌の兆候、あるいは数年後に発生するがんの前駆症状かもしれないということを視野に入れておいたほうが無難です。もうすでに体の中で、良からぬ異常がおこっているわけで、それが皮膚に危険信号として出ているのです。
その良からぬこととは、免疫系の異常で、それは老人の場合癌につながる可能性が高いのです。
狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血といった心・血管系の前駆症状として皮膚に湿疹がおこることはまずありません。糖尿病の場合は、湿疹でも水虫が多く、老人性皮膚掻痒症ではありません。
また、ヘルペスが出やすくなった場合も要注意です。免疫系の力が低くなり、そういうウイルス性の疾患が発生しやすくなるのです。 免疫系が力をなくしてくると、特に、癌家系の人は気をつけなければいけません。
68歳の男性で、半年前から、背中に広範囲、そして両下肢のしつこい湿疹に悩まされていた患者さんです。
非常に激しい痒みで、皮膚科からもらう軟膏をいくら塗っても治りません。これといった原因もありません。まだ、運転手として働いておられるのですが、痒みのためによく眠れず、仕事にさしつかえます。父親が肺癌で亡くなれています。
私は直感的に癌の前駆症状ではないかと思い、プサンの韓方専門病院での瀉血と「黄土」のサウナによる解毒を勧めました。二回、プサンに行かれ、そして、私が処方するビタミンやハーブをきっちり摂るようにされました。
今は長距離を運転したあと、太股の内側にわずかに湿疹ができるくらいに良くなられています。最初お会いしたときは、顔もどす黒く、病人の顔色でしたが、今ははつらつとピンク色に輝いています。あと、一回、プサンに行けば、完璧でしょう。
特に癌家系の人は、1、2年に一度は瀉血や「黄土」のサウナによる解毒が勧められます。
いったんレントゲン写真やCTでわかるほど癌が大きくなってしまってからでは、癌を完治させることはなかなか難しいのです。胸部X線撮影やCTによる、被爆をともなう健康診断を毎年受けるくらいなら、予防と治療になる、瀉血を毎年受けたほうがよほど合理的ではないでしょうか。