それと、もう一つ簡単な甲状腺機能低下を見つける方法があります。 勤務先での健診では、普通は甲状腺にまつわるホルモンの検査をしません (本来は、ぜひ組み込まれなければいけないのですが)。しかし、肝機能やコレステロールなどに関する血液検査は行います。その中で、ALPとコレステロールの数値に注意してください。
ALP(アルカリホスファターゼ)という酵素は胆嚢・胆道・肝臓系、骨代謝などに異変があった時に、異常値を示します。 多くは、正常値より高いときに注意が促され、一般健診のあと、肝臓や胆嚢の精密検査を要するというようなコメントがついてきます。 ところが、これが低い値を示すときは、けっこうないがしろにされやすいのです。 と、言いますのは、ALPが正常よりも低い値を示すのは、「遺伝性低ALP血症」という10万人に一人ほどしか起こらない病気と、「甲状腺機能低下」や、亜鉛が欠乏する状態 (たとえばアルコール依存症)、あるいは何らかの理由でマグネシウムが少ないときなどになってくるからです。
また、甲状腺機能低下で、甲状腺ホルモンの分泌が減ると、肝臓でのコレステロールの合成が減じ、かつ、胆汁へのコレステロール排泄も減り、結果的に血中のコレステロールが増えます。
ALP低下だけ、あるいは、コレステロール値上昇だけ、各々一つだけで甲状腺機能低下を疑うのは早急でしょうけれど、この二つが同時にあれば、 甲状腺機能低下も念頭に入れておき、念のために甲状腺専門クリニックに行かれ、精査されたほうが良いでしょう。
ここに具体的な症例をあげます