この新しいガイドラインについて、アメリカのみならず世界中の多くの医師たちが驚き(この基準が発表されたとき、その会場にいた医師たちから、どよめきの声がおこったそうです)、かつ困惑しており、このきびしすぎる基準については、素晴らしい基準で、これで心・血管障害の発生率はかなり減るだろう、いや、製薬会社のためにしかならないとか、血圧が下がり過ぎて寝たきり老人が増えるとか、毀誉褒貶(きよほうへん)、喧々諤々(けんけんがくがく)の状態であります。しかし、いずれにせよ、やがて日本もこのガイドラインに従っていくことになるでしょう。
しかし、問題は、「高血圧」を病気だととらえることから、始まりそうです。これといった原因の見当たらない、いわゆる本態性高血圧で、頭痛、吐き気、耳鳴り、めまい、眼底出血などをおこすことがなければ、たとえ160mmHg/100mmHgであっても、通常、何の症状もなく普通の生活が送れます。これを降圧剤で下げると、元気がなくなる、足元がふらつく、めまいがする、勃起不全になるなど、むしろ病的な症状がおこることが多いものです。病的な症状がおこらないかぎり、それは、簡単な話、つまり高血圧は病気ではないのです。次に述べるように、それは危険防止のために役立つ「信号であり指標」なのです。そうとらえると、気も楽になり、血圧も下がるものです。