(作用メカニズム:NO → プロテインキナーゼGを活性化 → カルシウムイオンが平滑筋細胞内へ流入することを抑制 → 血管平滑筋は弛緩し拡張 → 末梢血管の拡張 → 血圧低下)
1998年度ノーベル医学生理学賞はこの一酸化窒素の研究に与えられました。ニトログリセンがなぜ狭心症に非常に効くのか、その詳しいメカニズムは不明でした。医師たちは経験的に効くから効くのだということで処方してきました。しかし一酸化窒素の研究により、その機序がようやくわかりだしてきたのです。ニトログリセンには窒素が含まれており(ちなみにニトロとは窒素の英語です)、それからできてくる一酸化窒素が冠動脈の攣縮(れんしゅく)を素早く抑えるからなのです。
一酸化窒素の生成とともにホモシステインができるので、それを少なくするために、このサプリメントを摂るときには、とくにビタミンB6、B12、葉酸を補っておかねばなりません。それとアルギニンだけが過剰になってはいけません。2~4 g/日(20 g以上はとらないほうが無難)が、サプリメントとしては適量です。
アルギニンは特にヘルペスにかかりやすい人は非常に注意が必要です。ヘルペスを惹起するウイルスは、増殖するために、アルギニンを利用するからです。したがって、抗ヘルペス作用があるリジンというアミノ酸といっしょに摂る必要があります。
リジンはソバに多く含まれています。また血管を丈夫にするルチンも含まれていますから、積極的にソバを食べて下さい(しかし、ソバだけ大量に食べてはいけません。必ずタンパク質や脂肪と組合せてとって下さい。また、糖尿病の人は、ソバはグリセミック・インデックスが高いので注意して食べてください)。
また統合失調症の人はアルギニンを摂ってはいけません。そして、アルギニンは成長ホルモンの分泌を促しますので、とりすぎると皮膚がかたくなったり、関節が痛んだりすることがあります。朝、起きたときに手足がむくむような感じがするとき、あるいは指輪がはめにくい、抜きにくいときは、摂り過ぎの兆候ですから一時摂るのを止めるか、量を減らして下さい。何事も過ぎたるは及ばざるがごとしなのです。また、成長期にある若い人は服用しないほうが賢明です。成長ホルモンも過剰に出すぎると、若い人の場合、骨端線を早く閉じてしまうことがあり、かえって低身長になることがありえます。
また当然のことですが、がんなどの悪性腫瘍の成長も促進させる可能性がありますので、そういう病気をもっている人は、摂ってはいけません。