カトマンズ4泊、ハノイ4泊、ホーチミン1泊、機内泊が3回という、けっこうハードな旅のせいか、途中、咳が出だしました。カトマンズの2日目ごろから始まり、徐々にひどくなったものの、熱なし、痰なし、ふしぶしの痛みなし、下痢なし、食欲旺盛、軽い旅の疲れ以外なし。咳以外、まったく異常なしなのです。しかし、ホーチミンから帰国するころには、かなり咳き込むようになりました。それでも、二、三日で治るだろうとたかをくくっていました。しかし、日増しに咳はひどくなる一方です。ひと言しゃべりだすと、咳が続き、うまくしゃべれないほどひどくなりました。そこで、近くの総合病院に行き、CTを撮ってもらいましたが、異常なし。旅の途中で、細菌やウイルスに感染したことも考えられますが、それよりも、おそらく、めったにしない大掃除を年末にやったときに、大量にカビを吸い込んだのではないだろうかということで、抗真菌薬イトラコナゾール「イトラート」と鎮咳薬デキストロメトルファン「メジコン」が処方されました。それらを10日服用しましたが、ぜんぜん治る気配がありません。痰くらい出れば良いのですが、それも出ないで、ひたすら咳のみなので再受診。やはり、原因不明。もっとも、呼吸器専門の先生いわく、咳の4割~5割は原因不明ということですが。
そこで、あのオイルです。薬効を試すに、絶好のチャンスです。そのままでは、きつすぎて飲めませんので、コップ半分の水に、2~3滴垂らし、かき混ぜて、グイッと一息で飲みました(しかし、これを読んでいるみなさん、肝機能を調べないで飲んではいけません!!)。何と、翌朝、痰が出始めたのです!! もっとも、皮肉な見方をすれば、抗真菌薬がそろそろ効きだして、痰が出始めたのだろうということになりますが、私の直観としては、これは、やはりオイルのおかげです。イトラートとメジコンをのんでいるときは、効いているという感触がまったくなかったのです。朝と晩。日に2回、2~3滴ずつ。一週間で6割は改善しました。しかし、まだ完全ではない。
そこで、呼吸器の問題ですから、ネブライザーで吸入することにしました。私のクリニックは耳鼻咽喉科でないので、ネブライザーは置いていません。Amazon.comで、「ネブライザー」と検索して、パナソニックの ポケット 吸入器 ホワイトEW-KA 30を見つけました。送料込みで2770円。安い(!)ということで、早速、取り寄せ、吸入を開始。鼻をつまみ、口をあけて、シューと口腔内に噴霧し、口呼吸で、気管、気管支、肺に吸い込む。これを朝・晩、2週間続ける。ついに、100%治癒。
いまだにGDPが日本の250分の1しかない、貧しいネパールの人たちの健康に貢献する療法は、並ではありえません。安く、しかも確実に効果をあげ、副作用など皆無でなければいけません。これこそ、私が求め続けてきた治療です。彼らは、パナソニックのネブライザーなどは、もとより使えません。上級国家公務員の月給がせいぜい2万円、洗濯女の月給(日給でなく月給)が5百円(ネパールには洗濯器がほとんどない)ですから、ネブライザーは高すぎるのです。したがって、薄めて飲むか、お湯に垂らして蒸気を吸うか、あるいは頭痛のときなど、こめかみに塗り、肩こりや筋肉痛には、その箇所に塗るということです。
つまり、この素晴らしいオイルをネブライザーで肺に直接送りこむなど、誰もやったことがない。言い換えれば、このオイルを肺の奥深く送り込めば、結核さえ治るかもしれない。結核はいまだに深刻な病気です。開発途上国のみならず、日本でも、最近、ひそやかに結核は蔓延しだす傾向があるのです。しかし、これで結核が治るなら、どれだけ素晴らしいことか!!
それに、今いちばん問題になっているのが、多剤耐性結核菌の出現です。リファンピシンとイソニアジドが結核の標準療法に使用される抗結核薬ですが、これらに耐性をもつ結核菌が出現してきたのです。このタイプの結核に罹患すると、外科療法も含めて、治癒率が50%となります。さらに、多剤耐性結核菌も上回る、超多剤耐性結核菌もでてきました。これは、化学療法はほとんど不可能で、治癒率は30%となります。
こうなると、耐性菌の出現と抗結核薬の開発との、いたちごっこになってしまい、いくら新薬をつくっても、追いつけないのです。したがって、このへんで大きく発想を転換して、まったく違った方法で結核と対処しなければいけません。おそらく、このオイルがブレイクスルーになるでしょう。
WHOの統計によると、2012年、ネパールの結核罹患率は10万人に対して163人です。これは、日本の5人と比べれば30倍以上の数字ですが、同じ年、ミャンマーは381人です。そして、一人当たりの名目GDP(USドル)は、ネパールが686 ドル、ミャンマーが1103ドルです。つまり、非常に乱暴な言い方をすると、生活水準はミャンマーの方が2倍近くネパールより高いのに、結核はネパールの方が2倍以上に少ないということです。
さらに比較をすすめると、韓国は、結核罹患率はちょうど100人で、一人当たりの名目GDPが24453ドル。つまり、ネパールの生活水準は韓国の4分の1程度なのに、結核罹患率は1.6倍程度なのです。4倍どころか2倍にもならないわけです。もとより、一人当たりの名目GDPと、結核罹患率は決して反比例するとは考えられませんが、それにしても、「貧しい割には、ネパールには結核が少ない」と言えるのではないでしょうか。おそらく、それは、咳がでだすと、このオイルをすぐにお湯に垂らして蒸気を吸い、結核菌であろうがインフルエンザウイルスであろうが、殺してしまうからかもしれません。(本当にそのようです。*https://blog.drmakise.com/nature_conference/ )(また、新型コロナにも効果があるかもしれませんね。しかし、この治験は誰もおこなっていません)